ゆけ、白き獣たちよ。
二つの自動掃除機たちは充電を終え、初仕事を開始した。すなわち、リビングと私の部屋の掃除である。
大事なのは、こいつらが脱出不能な状態に陥らないように、床に余計なものを置かないということだ。
準備を整え、白い獣たちは勢い良く動き出した。
うわあああ、うわ、うわわわああん。
あっちの部屋でも、こっちでも白い獣たちが泣き叫ぶような機械のうなり声をあげている。
家で飼っている猫二匹はびっくりして逃げた。特に白ネコのパクは、しばらく物陰に隠れて出てこなかった。お前も一応白い獣だろう。ちょっとは戦ってみたらどうなんだ。
そんな勝手なことを思いながら、白い獣たちの掃除っぷりを眺める。
ガンッ。ガンガンッ。
ときおり壁にぶつかりながら、部屋を掃除していく頼もしいやつら。
しかし、こいつらはランダムに動いているだけなので、ホコリの固まりがすぐ近くにあっても、気がつかずに通り過ぎてしまうのだ。
ああ、いらいらする。
そう、自動掃除機の掃除の様子を眺めていてはいけない。別の用事をするか、外出したりしないと、妙ないらいらがつのってしまうのだ。
いったん席を外し、戻ってくると「意外ときれいになっている」感じがして、なんだか嬉しい。時間を有効に使えた気になってしまうのだった。
いや、気のせいではない。掃除が超めんどくさくても、スイッチを入れて自動掃除機を動かすぐらいならヤル気になれる。我が家は確実にきれいになっていったのだった。