「家がゴミだらけでごめんね。」
妻はときどき、というか結構な頻度でそんなことをつぶやく。
けど、私にとってはそれほどでもない。これはきっと、「きれいかどうか」に対する個人的差なんだと思っていた。
しかし、違うのだ。
「ゴミだらけでごめんね」は、翻訳すると「片づけたいのはやまやまなんだけど、めんどくさくってさ。そのうちやるから怒らないでね」ということなのだ。そして、そういう意味なんだろうと指摘したら妻は怒るに決まっている。かといって、「いいのいいの、掃除なんてしなくたっていいんだよ」と、相手の期待している回答を毎回するのもめんどくさい。
ここは、若干のユーモアを交えて返すのだ。
「えっ?ゴミなんか落ちてるんだ?気がつかなかったぁー。へー!」
この回答は、イヤミととられることもなく、おおむねうまくいった。ただし、相手の機嫌が悪いときは何を言っても絡まれるので、注意しなくてはならない。夫婦間で意表をついて交わされる精神戦。相手の繰り出す地雷を誤って踏むと、恐ろしいことにいつのまにか私が悪いことになってしまうのだ。
我が家には、そのような地雷が多数ばらまかれているが、このたび「家がごみだらけ」発言に関するソリューションが妻から提案されたのだった。