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ダイエーの蹉跌 企業参謀の告白/
かって流通の神様中内功氏を総帥に戴き「ダイエー帝国」といわれた企業はいまは解体され見る影もない。どうしてこのようになってしまったのか、再建に奔走した人物の手による失敗に終わった自己再建の記録である。しかしながら第一章は抽象的な改革の概念がだらだら書かれているのみで「改革したつもり」になっている企業はどこもこんなものだろう。ストレートに全部実行できれば苦労しない。第二章は組織が硬直化・劣化していた実際のダイエーで行われていた事例であり、大変に興味深い。仕入れ・流通・調理・レジャー産業・警備にいたるまですべて自前でやれる組織故にもっと安い優れた外部企業に委託したりできなかったというあまりに皮肉な実態は「氷河期の恐竜」そのものだった。なまじ自前の処理会社があるために鹿児島で捕れた魚を福岡に送ってそれを鹿児島でまた売るという非効率・高コスト・鮮度低下なことをしていたのだ。消費者は少し高くてもよいもの長く使えるものを求める時代になっているのにアホの一つ覚えのように「安かろう悪かろう」の品を売り続けていた。しまいにはコスト高でさして安くもなかったが・・。第三章で再び今となっては何の意味も持たない組織改革の概念論が出てきて終わり。ビジネス書としてもいまひとつの感は否めない。

ドキュメント ダイエー落城/
 日本経済新聞、日経金融新聞、日経流通新聞、各記事を編集した書物のため、首尾一貫していない箇所、内容が重複している箇所がみられます。
 そして本書は経済、企業経営の問題というよりも、経済産業省と金融監督庁、産業再生機構との縄張り争いに関する話題が延々と述べられています。
 すなわちこのような省庁の争いや土地の含み益を利用した企業経営など、ダイエーを例として日本社会の否定的な側面を描いたものが本書です。
 また金融機関の企業再生部門に勤務する私にとって、不採算部門の縮小や子会社株式売却による債務圧縮といったリストラ策でなく、顧客の視点にたって品揃えを改善する、従業員のモチベーションを高めるといった地道で愚直な取組みが小売業の再生には不可欠であることを切に感じました。
 

争覇の流通イノベーション―ダイエー・イトーヨーカ堂・セブン‐イレブン・ジャパンの比較経営行動分析/
当初は値段が高いと思ったが、相応に内容が良かった。本格的な比較研究がなされている。強いて難点を挙げるとすれば、80、90年代を対象としていること

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)/
元・ダイエーグループの社員だった私としては、どれも納得できる内容ばかりでした。
そして、著者である佐野氏については、よく調べよく取材されたと感心する。
佐野氏は昔、ダイエーによって実家の小売店をなきものにされたそうだが、決して
私怨に走らず中立的かつ客観的にまとめているあたりは流石一流のジャーナリストと言える。

プロローグは店舗のバックヤードに”従業員の生活を助ける為にもどうか当社の商品を
買ってください”と懇願する張り紙が貼られたところから始まる。
現在も続くダイエーの惨状を物語る張り紙である。

中内氏の名前(功いさお)からとった会員制スーパー「Kou'S」について触れられているが、
この本にもあるように従業員は否応無く3000円の会費を払わされ、強制的に会員にさせられる。
私もそうだったが、会員にならない従業員には会員になるまで勤務中でもお構いなしに
入会を促す内線電話がひっきりなしにかかる。
季節毎に変わるスポット商品は強制購入は当たり前。
業績が悪くなり始めた1995年あたりから、社員をグループ会社へ強制出向。
ようするに今までの仕事とは全く畑違いなグループ会社に出向させるのだ。
これで大抵の社員は挫折して退職してしまう。
体のいいリストラである。

中内功・潤親子のワンマンで傍若無人な経営スタイルは今の惨状のフォーマットではないだ
ろうか?
それを思うと今のダイエーの惨状はある意味、天罰といえる。

では何故、中内氏はこうまでして傍若無人な経営スタイルだったのか?
その秘密はこの本に書かれている。

ダイエーを私に売ってください。/
他のレビュワーの方も書いているが、単なる宣伝本である。この手の本は多いが、たかがシュークリーム屋をひとつ再生したくらいで、日本の小売市場において燦然たる輝きをもつダイエーの再建もできるかのようなタイトルをつけた著者、またつけさせた出版社に限りない嫌悪を覚える。

中内功は晩節を汚してしまったものの、彼の行った経営はそれまでの小売業の概念をすべてひっくり返すほどの哲学を持ってなされたことを多分著者は知らないのだろう。その意味で、ダイエーの副会長の林氏と同罪である。売名行為に名門企業の名前を利用するのはやめるべきだ。

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈下〉 (新潮文庫)/
全盛期のダイエーは仕入れから物流・警備・サービス・宝石から呉服・ファミレス・ハンバーガー屋からレコード屋まで全国展開できる無敵の帝国でした。
しかしながら最強の帝国は「最強」となったときから崩壊の第一歩が始まっていたのでした。
大きすぎて融通が利かず、地場のスーパーの小技に負け、少し高くても本物を求める時代なのに安かろう悪かろうのまま(そう安くもなかったし)本業の利益を副業で無駄遣いしていました。流通王となった中内氏は孤独な王様でした。高度成長という時代に彗星のように忽然と現れ、日本の流通業を根本から打ち砕き、大量消費時代としたものの、バブル崩壊の低成長時代に、役目を終えたようにさびしく去っていった中内氏。
「勝ち組」「負け組」「善」「悪」といった単純な物差しでは測りようもなく、著者の言葉を借りれば棺を覆って評価が決まるはずが棺を覆う蓋さえ見つからない人でした。もうこんな経営者は二度と現れないような気がします。
そういった中内氏のさまざまな側面まで筆を緩めず記した資料的価値の高い作品でもあります。文庫版は迷走をきわめ失敗に終わった自主再建の様子が最終章として加筆されています。

同じ著者の続編的性格の「戦後戦記」もおすすめです。

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